日本でも初確認!リレーアタックの手口と危険性を知り徹底対策
鍵屋の鍵猿としても、車の鍵を取り扱ううえでスマートキー搭載車の現場によく当たります。
スマートキーが無ければドア解錠もエンジンもかからないはずなのですが、このセキュリティを突破する手口が日本でも被害を増やしつつあるとのことで、注意喚起としてその手口と危険性についてまとめました。
目次
リレーアタックの被害状況
皆さんはリレーアタックという言葉をご存知でしょうか。
リレーアタックとは、鍵穴に鍵を差し込む必要がなく車のドアを解錠してエンジンをかけることができるスマートキーの機能を利用した新たな自動車盗難の手口です。
日本では年間で1万件以上もの自動車盗難が起こっているのですが、その中でも悪質かつ新しい手口として注目を浴びています。
日本ではあまり周知されていないのですが、すでにヨーロッパでは被害が拡大しており、ドイツの自動車連盟ではリレーアタックの被害を再現した動画をインターネット上で公開し、注意を呼び掛けているほどです。
実はこれは他人事ではなく、日本でもとうとう平成30年9月に大阪で被害が発生してしまいました。
レクサスが5秒で解錠、狙われるトヨタ車
平成30年9月下旬深夜、不審な2人の男が持ち込んだ機械を操作するなどして民家に置いていたスマートキー対応のレクサスがわずか5秒で解錠されました。
結局この事件はうまくエンジンをかけることはできず未遂に終わった事件ですが、日本でもリレーアタックによる盗難未遂事件が確認されてきているのです。
平成29年1月の警察庁の調査では正確には1万213件に及び、うち鍵のない状態で盗難されたのは70%に及びます。
盗難車種を調べてみてもハイエースやプリウスなどのスマートキーを搭載している車種がほとんどであり、確認されていないだけでリレーアタックによる盗難ではないかと考察されています。
実際に盗難に遭いやすいのは海外でも人気が高いトヨタ車の高級車です。
先に挙げたハイエース、プリウスのほか、レクサス、ランドクルーザー、欧米ではプリウスの小型版として人気の高いアクアなどが盗難被害に遭いやすい車ですが、すべてがトヨタ車となっています。
盗難被害が起きる原因と犯人の目的とは
では、どうしてこれほどまでに特定の日本車が集中して狙われているのでしょうか。
やはり、海外でも人気が高い車であることが大きな起因となっています。
車の耐久性、信頼性、燃費の良さ、すべてにおいてバランス良く優れている日本車は、世界に誇るような高品質かつ日本の優れた技術が大変評価されています。
海外でも人気のハイエース、ランドクルーザー、プリウスなどは盗難後、解体され、パーツを分解してからあらゆるルートで輸出され、現地においてそのまま部品を高く売ったり、分解されたものを再度組み立てられたりして高く売られている輸出売買に使われています。
外国では日本車は関税がかかるため、日本に比べて高価です。高性能かつ高品質な日本車を盗んで売ることによってその分利益が上がるので海外では盗難価値の高い車となるのです。
現日本国内でも盗難車は国内での事故車の再生に利用されることも多いですし、廃車となった事故車のナンバープレートを盗難車に付け替えてしまうといケースもあります。
リレーアタックの仕組みと犯人グループの手口
スマートキーはそもそも車に搭載されたコンピューターと通信して、キーが近くにあるかどうかを判断します。
そのため、スマートキー自体は常に微弱電波を出し続けています。本来ならばキーを持って車を離れると、電波も届かなくなりドアの解錠・エンジンスタートは出来ません。ですがリレーアタックはその微弱電波を利用します。
犯人のうちの一人が車から離れてスマートキーを持っている人物(被害者)に近づき、スマートキーの電波を特殊な機械を使って別の周波数に変換し増幅させます。その周波数を盗難目的の対象車の近くにいるもう一方の犯人の方へ送信します。そして受診した電波は元の周波数に変換され、対象車はスマートキーが近くにきたと誤った判断をしてしまい、いとも簡単に解錠したり、エンジンをかけたりすることができるようになります。
リレーアタックとは、日本語で言うと、電波を中継(=リレー)し、犯行(=アタック)するという言葉通りの仕組みなのです。
被害にあった方はしっかり施錠し、安心して場を離れてしまうため、車のもとに戻ってくるまで犯行に気づくことがありません。
自宅にいる際も要注意
先ほど紹介したのは外出時に駐車場に停めているケースですが、自宅にいる場合も注意が必要です。
外出でなければ犯人もスマートキーを持っている自分に接近できないから大丈夫だろう、さすがに家の中までは大丈夫だろうという過信が大きな間違いです。
自宅に停めていたレクサスの盗難
実際に、平成30年9月の大阪レクサス盗難未遂事件もまさに自宅の駐車場で起きた事件です。
たしかにある程度スマートキーに近づかなければリレーアタックは成功しません。
そのため、外出時は狙われやすいのです。
しかし、自宅にいる時は車のキーを便利だからと言って玄関付近に置いている方も多いのではないでしょうか。
そういった方は要注意です。
それを狙い、犯人たちは夜中など寝静まった頃にやって来て玄関に近づきリレーアタックを試みるケースがあるからです。
そのため、自宅ではできるだけ車から離れた位置に保管しておくのがベストです。
リレーアタックの基本的な対策法
リレーアタックは、よほど周囲を気にしたり、車を常に確認していない限り、どんな人でも犯行に気づかないものです。
もちろんカフェでお茶をしているときに車を目に付く位置に置くようにして、怪しい人物が周りにいないか常時確認するのも良いでしょう。
ただ、わかりにくい位置にいる可能性もあり常時確認しておくだけではきちんとした対策にはなりません。
手口は5秒ですから、あっという間に盗まれたというケースもあり得ます。そのため、事前に対策をしておくのが賢明です。
リレーアタックを防ぐ方法はいくつかあります。
先ほど紹介したようにリレーアタックの手口は微弱電波を利用しているという点がポイントです。つまり、この電波を遮断してしまえば良いのです。
ブリキ缶・金属缶にキーを入れる
電波は基本、金属製の容器などに入れることで簡単に遮断することが可能です。家にある小さなブリキ缶などに入れて保管したり持ち歩いたりすれば簡単に、そしてお金もかからず対策できます。
家で保管する際、または予備キーを自宅で保管する際はブリキ缶に入れて保管するのがベストです。
専用のキーケースに入れる
携行する際は缶に入れると、ポケットにも入りませんし、取り出しも不便です。
そういった場合は、電波を遮断する特殊なキーケースが販売されていますので、購入して利用すると良いでしょう。
キーの電波通信をオフにする
または、ディーラーで微弱電波をオフする設定に変えてもらうことも可能です。ただこうするとせっかくのスマートキーのメリットが半減し、プッシュボタンにキーを近づけてエンジンをかけなければならなくなるデメリットもありますが、盗難被害をお金をかけずに対策するならおすすめの方法でもあります。
ハンドルやタイヤを動かないようにする
盗難対策用にハンドルを動かないよう固定する鍵、タイヤに取り付ける鍵があります。リレーアタック以外の手口もついでに対策することができます。毎回取り付けることが面倒ではありますが、車両盗難の被害を防ぐことができるため、更なる対策を求める方にはおすすめです。
自宅で盗まれないようにする本格的な対策方法
自宅で盗まれないようにする本格的なリレーアタックの対策としては、まずやはりブリキ缶に保管しておくことが大切です。
電波を遮断すればまずリレーアタックに遭うことはありません。自宅にいる際に確実にリレーアタックを避けたい場合はブリキ缶の置き場所を決めましょう。そして、さらに用心して玄関ではなく車から離れた位置に置くことです。
その他は工事費用がかかりますが、本格的に対策する方はぜひお考え下さい。
門扉・柵の取り付け
リレーアタックだけでなく、全般的な車の盗難対策として言えることは、車庫前に鍵付きの門扉・柵を付けるようにすると安心です。リレーアタックは犯人自らが運転をして車を盗みます。その車が敷地外に出ないように門扉を取り付けるのです。
わざわざ派手に門扉や車を傷つけてまで盗もうとする人は犯行が目立ってしまうこともありますので、予防になります。
さらに安全なのは、シャッター付きの車庫に入れるのがベストです。新築を建てられたり外構をリフォームされたりする際に是非検討されてみてはいかがでしょうか。
防犯カメラ・センサーライトで証拠を残す
今回ご紹介した大阪の事件は、防犯カメラでリレーアタックが初確認されました。つまり、犯人の証拠を残すためにも、また犯人にセキュリティを意識させるためにも防犯カメラはわかりやすい位置に設置しておくと良いでしょう。
センサーライトも併用して、明るく照らして人物をわかりやすくするのも良いです。そして、どれだけ対策をしていても派手に盗んでしまうような犯行グループもいないとは限りません。
そのような万が一に備えて、任意の自動車保険に加入しておくことは非常に大切です。盗難に遭った場合の補償もありますので、加入されていない方は是非今すぐにでも加入しておくと安心です。